福 岡 市「市街化調整区域」 探 訪

福岡市の市街化調整区域に関する情報を発信します。

論文1 はじめに

はじめに

マグマのようにグラグラと地下深くでそのエネルギーを溜めこんでいるのだろうか

 

平成23(2011)年にJR博多シティがオープンして以降、博多駅周辺は、誰もが目をみはるような街並みに生まれ変わっている。

新築の商業施設が軒を連ね、地下鉄工事は日々延伸に励み、空中に至っては、ロープウェイ構想なるものが取り沙汰されている。

今や注目のエリアとなった博多駅周辺には、ビジネスマンはもとより外国人観光客など多様な人々が流れ込み、大量の渦となって活気をもたらす。

今こうしている最中にも博多駅周辺は、衰えることのない変貌をとげながら成長し続けているようだ。

 

福岡市の変貌ぶりは、なにも博多駅周辺だけに限ったことではない。

天神地区も「天神ビックバン」を合言葉に負けず劣らずスクラップアンドビルドを繰り返す。

容積率の緩和に伴い、明治通りを中心に高層ビル構想が取り沙汰される。ウォーターフロント地区も再開発の話が飛び交う。

私の住んでいる地域(南区)もひと昔前の木造戸建て住宅群が、高層マンションに建て替わっている。

福岡市都市圏に属する筑紫地区、粕屋地区などへ目を向けても田畑が開発され、住宅地や工業団地などに変容している。

福岡市を取り巻く環境は、多かれ少なかれ時代の流れとともに先進的都市化の方向へと邁進しているといっても過言ではないだろう。

 

一方で福岡市内でもほとんど変わらない街並みもある。

本研究の研究素材である「市街化調整区域」はその変わらない街並みのひとつといえる。

福岡市の市街化調整区域といえば、例えば、西区では能古、今津、北崎、東区では志賀島勝馬早良区では脇山、内野、曲渕が代表的な区域となる。市街化調整区域とは、都市計画法の規定により市街化を抑制すべき区域のことをいう。

そのため、たとえ所有者であっても許可権者(福岡市の場合は福岡市長)の許可[i]がない場合は、新築、増築、用途変更をすることは出来ない。

都心からどんなに開発圧力が押し寄せたとしても、文字通り「線引」された線(区域区分)によって遮断され、都市化されることを拒んでいる市街化調整区域は、今でも変わらぬ田園風景や漁村集落という昔ながらの日本の風景が留め置かれているのだ。    

 

とはいうものの、なんの変化も起こらず、その場に停滞し続けるのは、不自然であるといえるだろう。

なぜならこの世の常は「変わりつづける」ことが摂理である。市街化調整区域が、仮に都市のような発展的変貌を拒むのであれば、その代償は、ある意味での衰退的凋萎(ちょうい)を余儀なくされるのかもしれない。

福岡市が「市街化調整区域でも農山漁村地域などでは,人口の減少,少子化高齢化等が進行しており,保全を基本としながらも,地域コミュニティ機能の維持・地域の特性を活かした活性化が必要となっている」[ii]と報告しているように、市街化調整区域(なかでも農村漁村地域)の置かれている現状は、決して楽観視できるものではないようだ。

 

そこで、福岡市の市街化調整区域[iii](なかでも農村漁村地域)に出向き、自分の足を使ってその実情を確かめ、実際に、福岡市の市街化調整区域という場所は、昔ながらの変わらない街並みを維持しながら、報告どおり、コミュニティの衰退が懸念されているのか、それとも市街化調整区域独自の変化(もしくは進化)の兆しのようなものこそが、マグマがグラグラと地下深くでそのエネルギーを溜め混むように地域の中に内包しているのではないのか、ということを調べてみようと思った。

 

本研究では、最初に市街化調整区域における先行研究、閲覧可能な調査データを閲覧し、それを基に福岡市役所の各部署への聴き取り調査を行う。

 

次に、福岡市の市街化調整区域、特に西区の今津校区、北崎校区において自治会関係者、事業者、住民の方々へヒアリングを実施し、区域内で実際におこっている様々な事象をケーススタディ[iv]の手法によって調査する。

また研究の過程で気づいたアイデアを整理し、市街化調整区域活性化のための提言としてまとめることも本研究の重要な役割であり、市民研究員としての特権だと捉えている。

 

 

 

[i] 許可権者は、都市計画法34条の立地基準(特別基準)のいずれかに該当すると認められる場合でなければ許可することはできない。

[ii] 福岡市「市街化調整区域における土地利用制度の運用方針」(2015年9月)http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/1860/1/04_09_tyouseikuiki-unyouhousin_191-206.pdf

[iii] 本論文においての「市街化調整区域」とは、市街地に隣接しておらず、その地区のほとんどが市街化調整区域に区分された校区(例えば、北崎校区、今津校区、志賀島校区、勝馬校区、能古校区、脇山校区)などを指す。

[iv] ケーススタディ(case study):事例研究。社会科学では、すべての事象を網羅することが出来ない場合に1つまたは複数の事例を取り上げて、推論が当てはまっているか、傾向が確認できるかを確かめる。「ウィキペディアWikipedia):フリー百科事典」参照

https://ja.wikipedia.org/wiki/ケーススタディー (最終閲覧日:2018年2月26日)