福 岡 市「市街化調整区域」 探 訪

福岡市の市街化調整区域に関する情報を発信します。

論文2 研究の目的について

  • 研究の目的について

「活性化」とはなんなのか、どのような状態になればそれを「活性化」とよぶことができるのか。

 

表1は5年毎の福岡市全体の人口推移と福岡市の市街化調整区域の人口推移を表したものである。

これによると福岡市の市街化調整区域全体の人口は、平成7年から平成27年までの20年間で6,274人減少している。

これに対して、福岡市全体では253,889人の人口増となっている。

福岡市人口ビジョン[i]によると、福岡市の人口は2035年をピークに160万人を超える見込みとされている。

全国的な人口減少、また東京圏への人口集中加速において福岡市は特異な存在であるといえなくもないが[ii]、その恩恵が、市街化調整区域に齎(もたら)されていないのは確かなようだ。

これは市街化調整区域独特の規制(例えば、許可なしにあらたな建物の建築ができないなど)によるところが大きい。よってなにも手を打たないでいると、福岡市の市街化区域[iii]と市街化調整区域との人口格差はより一層広がることになる。

 

表1 福岡市の人口の推移(全体と市街化調整区域の対比)

 

平成7年

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

福岡市全体

1,284,795人

1,341,470人

1,401,279人

1,403,743人

1,538,684人

市街化調整区域

43,662人

42,272人

40,734人

38,717人

37,388人

 出典:国勢調査 

 

冒頭で述べたように、福岡市は、市街化調整区域における人口減少、少子高齢化による地域コミュニティの衰退を懸念し、市街化調整区域の既存集落における地域コミュニティの維持及び活性化の必要性を示している。

そこで福岡市は、あらかじめ区域を指定し、住宅を中心に小規模な建築物の立地が可能となる定住化を促進する新制度(以下本論文において「区域指定型制度」と記す)を創設した[iv]

この制度を自治体が活用することで、市街化調整区域であらたな建物の建築や空き家の賃貸などが可能となり、新規定住者促進の期待がもてるようになる。

また、福岡市は、農林水産業や観光業など地域産業の振興に寄与する建築物の立地が可能となる規制緩和も行っている(以下本論文において「地域産業振興施設」と記す)[v]。これは市街化調整区域であらたな事業をはじめる事業者のための土地利用規制緩和である(これら「区域指定型制度」と「地域産業振興施設」については4章(1)、(2)にてそれぞれ詳しく後述する)。

本研究は、これら福岡市が施行している市街化調整区域活性化のための2つの新制度がどのように運用され、実際にどのような効果をもたらしているのかをケーススタディの手法を用いて調査、考察する。

また本研究では、そもそも福岡市が目指す市街化調整区域の「活性化」とはなんなのか。「活性化」とはどのような状態になったときにそれを「活性化」とよぶことができるのか。という根本的な問に対しても真摯に向き合い、答えのようなものを導きだすことも考えている。なぜならそれが本研究にとって、研究テーマ『住んで、来て、楽しい福岡「市街化調整区域」のまちづくり』を紐解く上での重要な「鍵」であると位置づけているからである。

それらを踏まえ、本研究の目的は、福岡市の市街化調整区域が活性化し、福岡市民や市民以外にとって「住んで、来て、楽しい市街化調整区域のまちづくり」となるよう提言することにある。

次章では、本研究のテーマ『住んで、来て、楽しい福岡「市街化調整区域」のまちづくり』ついて詳しく論ずる。

 

[i] 福岡市「福岡市人口ビジョン」(2015年10月)The Fukuoka City Population Vision ,(2015年10月)

[ii] 東京園の人口集中加速のなかで、福岡市は転入が8678人増と全国4位の水準である。

「東京園の人口集中加速」『西日本新聞』2018年1月30日朝刊 3頁

[iii] 市街化区域とはすでに市街地を形成している区域とおおむね10年以内に優先的に市街化を図るべき区域をいう

[iv] 福岡市ホームページ (最終閲覧日2018年1月5日)

http://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/chiikikeikaku/chikeihp/topics/shigaikachouseikuiki_leaflet.html

[v] 福岡市総務企画局企画調整部「市街化調整区域の土地利用規制緩和

http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/53926/1/20_2kaiseigaiyou.pdf